花粉症は、子供から大人まで多くの日本人が悩まされているアレルギー性疾患です。
花粉症の症状として、鼻炎や目の結膜炎の症状に内服・外用の抗アレルギー薬を使用することで
一時的に症状を抑えることはできますが、花粉症を完全に治すことは難しいのが現状です。
ではどうして花粉症は治りにくいのでしょうか。
それは、一言で言うと他のアレルギー性疾患と同様、花粉症体質という生まれながらの体質があるから。
花粉症はアレルギー性疾患の代表とでも言うべきもので、鼻炎の症状が一般的ですが、
目の結膜炎、皮膚炎、喘息など、実は症状は多彩です。
これらのうち複数の疾患が組み合わさってしまうケースもよくあります。
ところで花粉症体質は生まれつきの体質とされていますが、以前の日本ではそれほど多くなかったのです。
アレルギーの原因となる花粉自体の量が増えたのでしょうか?
確かに戦後スギの植林が進み、スギ花粉は増えたと言われています。
しかし、現代社会の高気密住宅の中でダニなどのアレルゲンが増えたり、または大気汚染や食品添加物などの
影響でアレルギー体質自体が増えていると考えられています。
花粉症の場合、同じようなケアや生活・食生活でも 、現代の日本で花粉症で悩むことのない方も大勢いるのです。
花粉症で悩んでいる方にしてみれば、「どうして私ばっかり・・・」 と羨ましいばかりですが、
体質ばかりは親を恨んでも仕方がありません。
そこで、体質改善を計るために漢方をお勧めします。
花粉症体質、とは言ってもどんな症状なのか、体質などにより適する漢方薬は異なります。
一つ言える事は、花粉症はからだのアンバランスが一部の器官(例えば鼻)に現れた結果、だということです。
花粉症を治すには、自分の体の弱いところ(バランスの崩れたところ)の調整をする漢方を使うことが必要なのです。
そして漢方は、自分に合ったものが見つかれば、長期間続けることが大切です。
生まれながらの体質、ということは、調整を続けなければまた元に戻ってしまうということ。
症状が良くなって、漢方をやめたらすぐまた花粉症が悪化・・・と言うことのないよう、長く付き合って行きましょう。
近年は花粉症に漢方を使うケースが増えてきました。
漢方はむしろ体質改善を目的とし、、他のものと組み合わせて漢方薬も処方するということが多いようです。
一般的には花粉症治療として行なわれる治療には、下記の内容です。
・抗アレルギー剤の内服
体の過剰なアレルギー反応を抑える作用の薬です。眠気・だるさが生じることがありますが、個人差があります。
・ステロイド外用剤
炎症を抑える作用の薬。
アレルギー性結膜炎の場合は点眼、アレルギー性鼻炎の場合は点鼻(噴霧)。
これらの治療に体質改善を組み合わせること、つまり漢方を取り入れることを お勧めします。
マスクやゴーグル、空気清浄機、アレルギーの原因である花粉をなるべくからだに取り込まないようにするグッズなど、いろいろあります。
これらと、食生活や生活習慣の改善と合わせて、体質改善のために漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
花粉症に効く漢方はたくさんあります。
ひとりひとりの体質に応じて、適した薬が異なるからです。
このうち、花粉症治療によく使われる漢方薬をいくつかご紹介しましょう。
・葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
軽く汗をかく程度にからだを温め、鼻づまり・蓄膿症・慢性鼻炎を改善します。
・小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
からだを温め、鼻炎症状を改善します。
・荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
熱や炎症を抑え、血液の流れを良くし、症状を改善します。
花粉症は生活習慣の乱れから、悪化するということも分かっています。
早寝・早起き・ストレスをためない・・・・など、基本はシンプルです。
・外出時はマスクやゴーグルなどを着用する。
・洗濯物は花粉の時期には外干しを避ける。
・家の中の掃除は拭き掃除をこまめにする。
・寝る前はゆっくりとぬるめのお風呂に入る。
・石鹸を使って洗いすぎないように注意する。
・メイクはなるべくしない。
・就寝前は心身共にリラックスして穏やかな時間を過ごし、就寝時間も早めにする。
→からだのホルモンバランスが乱れ、症状が悪化しやすい
また、さまざまなストレスから、ホルモンバランスが崩れて症状が悪化することも。
からだのバランスを調整する漢方の力も借りてみるのは、いかがでしょうか?
花粉症は食生活の乱れから、悪化することもよく知られています。
コンビニやインスタント食品、外食など栄養の偏った食事では、症状はなかなか良くなりません。
また、最近ではパン食も増えていますが、これも要注意です。
小麦粉は海外からの輸入がほとんどで、農薬による汚染やバターなど乳製品を多く含んでいる点など花粉症には良くありません。
花粉症の方は、パンをなるべくやめて、お米を3食とも食べてみて下さい。
これだけでも改善する方が意外に多くいらっしゃいます。
また、漢方薬も食べ物と同じく口からからだに取り入れるものですね。
良い食べ物が肌に良いように、自分に合った漢方薬で花粉症が改善することも多いのです。
花粉症は精神状態により悪化することがあります。
アレルギー性疾患全般に言えることですが、イライラしたり不安が強いときは症状が悪化します。
漢方薬でイライラや不安を取る作用の高いものもあります。
イライラや不安が強い方にお勧めです。
症状が悪化するとさらにイライラして、悪循環に陥るもの。その悪循環を断ち切るには漢方が有効なのです。
漢方で花粉症が改善した方の中には、性格も穏やかになった、という方も少なくありません。
漢方を選ぶ際に、ひとりひとりの体質(冷え性や便秘の有無など)に合った薬を選んでいきますので、
からだ全体の調子を整えていくからです。
「健康な肉体には健康な魂が宿る」と昔からよく言われていますね。
花粉症を改善するために漢方を飲み始めると、性格やそのほかにも便通など さまざまな変化が訪れます。
漢方の世界では、花粉症はからだのアンバランスが表面に現れただけ、と考えます。
花粉症を治すというより、その元にある、からだの不調を見つめ、調整するのです。
皮膚だけを見るのではなく、熱か冷えか、循環不良か、どこが不調なのか、さまざまな症状を 聞きながら、処方を考えます。
花粉症で漢方を処方される場合、その人によって使う漢方薬は異なります。
これが病名(花粉症)に対して処方を組み立てる西洋医学(一般の医学のこと)と東洋医学(漢方医学)との違いです。
もちろん両者にはそれぞれ長所・短所があります。
最も良いのは両者をケースバイケースで使い分けること。
同時に西洋薬と漢方薬を使うこともあり得ます。
では、あなたに合った漢方薬を探してみましょう。
当サイトでは、漢方初心者の方でも簡単に漢方探しをするお手伝いを致します。
花粉症と上手く付き合って行くために、漢方を試してみて下さい。
そして、花粉症だけでなく、体のさまざまな不調(これまで気に留めなかったことも)が いつか改善されていることに気づかれるでしょう。
そして漢方の世界の奥深さ、有益さを知って頂き、毎日を健やかに楽しく過ごされることを願ってやみません。